メールプライバシー用語集
使い捨てメール、配信、送信者認証にまつわる用語を、実際にメールサーバーを運用している立場から解説します。
多くのメール用語集は意味を説明して終わりです。私たちは受信専用の使い捨てメールサービスPureTempMailを運営しており、ここに並ぶ仕組みに毎日向き合っています。役立つ場面では、定義のあとに私たちのシステムでその用語がどう関わっているかを補足しています。
アドレスと受信トレイ
- 使い捨てメール
短期間だけ使い、用が済んだら捨てる前提で作るメールアドレスです。実際のメッセージを受信できるので認証コードや確認リンクには使えますが、長く使い続けるアカウントを持たせるためのものではありません。
PureTempMailでは: アドレスはすべてランダムに生成され、有効期間は標準で1時間、作成時点から最大24時間まで延長できます。期限が切れると、メールボックスとメッセージ、添付ファイルは削除されます。
- バーナーメール
使い捨てアドレスの俗称で、プリペイド式の使い捨て携帯電話(バーナーフォン)に由来します。1回の登録に使い、その後は確認しなくなるのが一般的です。
- メールエイリアス
実際の受信トレイへ転送される、恒久的な追加アドレスです。使い捨てアドレスと違って使い続けられるので、パスワード再設定メールも受け取れます。スパムが届くようになったら無効にすることもできます。
- プラスアドレス(サブアドレス)
[email protected] のようにプラス記号のあとにタグを付けても、メールは [email protected] に届く仕組みです。振り分けには便利ですが、何も隠せません。タグを消せば誰でも本当のアドレスにたどり着けます。
- キャッチオールアドレス
誰も作成していないローカル部を含め、あらゆる宛先のメールを受け付けるドメイン設定です。キャッチオールのドメインには大量のスパムが届き、送信側はアドレスが実在するかどうかを確かめられなくなります。
PureTempMailでは: 私たちはキャッチオールを使っていません。SMTPサーバーが宛先が有効なメールボックスかどうかをAPIに問い合わせ、そうでなければSMTPのやり取りの段階でメッセージを拒否します。
- ローカル部
@記号より前の部分です。ドメインはどのサーバーがメッセージを受け取るかを決め、ローカル部はそのサーバー上のどのメールボックスに届けるかを決めます。
- 公開受信トレイ
アドレスを入力するだけで誰でも開ける一時的な受信トレイです。この方式の使い捨てメールサービスもあり、アドレスを推測したり使い回したりした第三者に、認証コードや再設定リンクを読まれるおそれがあります。
PureTempMailでは: 私たちのアドレスはランダムで、受信トレイはお使いのブラウザにだけ保存される非公開のメールボックスIDで開きます。アドレスを知っているだけでは受信トレイは開けません。
- 受信専用メール
受信はできても、送信や返信はできないメールサービスです。追跡できないアカウントからスパムや嫌がらせを送るという、一時アドレスの最大の悪用手段をなくせます。
PureTempMailでは: PureTempMailはWeb版でもAndroidアプリでも受信専用です。
メールが届く仕組み
- SMTP
Simple Mail Transfer Protocolの略で、メールサーバー同士がメッセージを受け渡すための言語です。通常はポート25を使います。配信は短いやり取りで、送信側が宛先を伝え、受信側が受け入れるか拒否し、そのあとメッセージ本体が転送されます。
- MXレコード
あるドメイン宛てのメールをどのサーバーが受け付けるかをインターネットに伝えるDNSレコードです。正しく機能するMXレコードがないドメインには、メールを届けられません。
PureTempMailでは: 私たちのドメインのMXレコードは自前のSMTPサーバーを指しているため、外部のメール事業者があなたのメッセージを扱うことはありません。
- バウンス
メッセージを配信できなかったという通知です。ハードバウンスはアドレスが存在しないことを意味し、ソフトバウンスはメールボックスの容量不足やサーバー停止などによる一時的なものです。
PureTempMailでは: 期限切れのアドレス宛てのメールは拒否されるため、送信者には黙って消えるのではなくバウンスが返ります。
- グレーリスティング
見知らぬ送信元からのメールをいったん一時的に拒否し、数分後に再送されたら受け入れるスパム対策です。正規のサーバーは再送しますが、多くのスパムツールは再送しません。認証メールが遅れて届くよくある原因のひとつです。
関連記事: 本当のメールアドレスを教えずに会員登録する方法
- Receivedヘッダー
メールサーバーがメッセージを次へ渡すたびに追加する行で、どこから来てどこへ渡し、いつだったかを記録します。Received行を下から上へ読むと、メッセージがたどった経路がわかります。
PureTempMailでは: 私たちのメールヘッダー解析ツールは、これらの行を各ステップの遅延付きのタイムラインに変換します。
- Message-ID
送信システムが各メッセージに付ける一意の識別子です。メールソフトは返信をスレッドにまとめるのに使い、サポート担当者はログから特定のメッセージを探すのに使います。
- Server-Sent Events (SSE)
1本の接続を開いたままにして、サーバーが更新をその場でブラウザへ送れるようにするWeb標準です。これを使った受信トレイは、再読み込みしなくても新着メールを表示します。
PureTempMailでは: Webの受信トレイもAndroidアプリも、新着メッセージをSSEで受け取っています。
送信者認証
- SPF
Sender Policy Frameworkの略で、あるドメインのメールを送信してよいサーバーを列挙したDNSレコードです。受信サーバーは接続してきたサーバーをこのリストと照合し、pass、fail、softfail、neutralのいずれかを記録します。
- DKIM
DomainKeys Identified Mailの略で、送信サーバーが付ける暗号署名です。受信側はDNSから公開鍵を取得し、署名されたヘッダーと本文が途中で書き換えられていないかを確認します。
- DMARC
メッセージがFromドメインとのSPF・DKIMの整合性チェックに失敗したとき、受信側がどう扱うか(配信する、迷惑メールに振り分ける、拒否する)を指示するDNSポリシーです。送信者アドレスのなりすましに対する主要な防御策です。
- Return-Path
バウンスの送り先となるアドレスで、エンベロープ送信者とも呼ばれます。企業がメール配信サービス経由でニュースレターを送る場合など、表示されるFromアドレスとは異なることがよくあります。
- Authentication-Results
受信サーバーがSPF、DKIM、DMARCの判定結果を記録して追加するヘッダーです。怪しいメッセージが名乗っているドメインから本当に来たのかを確かめるには、ここを見るのがいちばん早い方法です。
プライバシー、トラッキング、悪用
- トラッキングピクセル
HTMLメールに埋め込まれた、たいていは目に見えない極小の画像です。メールソフトがこれを読み込むと、送信者はメッセージが開封されたこと、その日時、そしてIPアドレスを知ります。
PureTempMailでは: 私たちのビューアーは外部画像を読み込むため、開いたメッセージ内のピクセルは作動します。送信者にわかるのは使い捨てアドレスが開封されたことで、あなたの本当のメールアドレスは伝わりません。
- ダブルオプトイン
確認リンクを送り、それをクリックしてはじめてリストに登録する仕組みです。数分間だけ使える受信トレイを必要とするサイトがこれほど多いのは、このためです。
- 使い捨てドメインのブロックリスト
一時メールサービスのものと判明しているドメインの一覧です。サイトはこれを使って使い捨てアドレスでの登録を拒否します。主な目的は無料トライアルの悪用や偽アカウントの抑制です。
- データ漏えい
企業が持つユーザーデータが流出したり盗まれたりする事故です。メールアドレスは最もよく漏れる項目の一つで、多くのサイトで使った本物のアドレスがスパムやフィッシングのリストに載ってしまうのはこのためです。
- フィッシング
信頼できる送信者を装い、リンクをクリックさせたり、ファイルを開かせたり、認証情報を入力させたりするメッセージです。認証ヘッダーと実際のリンク先を確認するのが、見抜くための最も手早い方法です。